詩の日めくり 二〇一八年二月一日─三十一日/田中宏輔
だけれど、おそれおおくて「いいよ、いいよ、きみが横にいてくれるだけで、ぼくは幸せ。」と、ぼくは言ったのだった。ああ、もっと積極的になって、電話番号とかメールアドレスとか聞いとけばよかった。残念。ぼくって、ほとんどいつも、こんなふうに、消極的で、できる恋もできないのだった。こんなんばっかり。ほんとに、残念。だけど、残念だからこそ、詩にできるってこともあんのかもしれないね。そんな気もするぼくだった。ぼくの詩は残念な恋の話なのかもしれない。
二〇一八年二月十二日 「断章」
作品は作者を変える。
自分から作品を引き出す活動のひとつびとつに、作者は或る変質を受ける。完成すると、作品は
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