無色透明ノ硝子キューブ /あらい
 
 寝そべる蕾たちの白々しい艶消しにふらついて
 誰も彼もがモザイクタイルの朝な夕なに心奪われる

            発色の良い風景に溶け込む
           低俗なあぶくの零れ噺ばかり
 何処までも跳んでいけるのだと
       (だまされたいのち)
            黙って、のぞいてごらんよ

         悪趣味な茨を穿いた、
 腐蝕した魂は未だ臙脂の月とうつろい、
       共色を求め彷徨っているようだった。
 (慎ましくこじんまりとした聖職者のよう)
 削ぎ落とされた執着を未練ものこさず光と散る
         堂々とたるプライドも
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