陽が沈むにつれて/
坂本瞳子
青い空
わずかながらに流れ行く白い雲
軒下には
蜘蛛の巣に滴る雨粒が輝きを放つ
夏休みが懐かしく思い出され
向日葵畑の跡に立つ案山子は
夕陽に照らされ
土手に履き捨てられた
幼子のサンダルからは
それを踏みつけたときの鳴き声が聞こえてきそうで
時刻が過ぎゆくのを感じ
哀愁に浸り
それでも事件は起きない
涙すら流れることなく
自らの存在の意義など見い出せるはずもなく
それでも
この身体から血潮と鼓動と息吹は感じている
そんな秋の夕暮れ
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