年越し夜勤の思い出/板谷みきょう
 
急性期、慢性期とは違う
退院前提の患者達に対して
病院が新たに取り組み
出来上がった開放病棟

十代のシンナー少年から
族上がりのチンピラヤクザ
アル中やヤク中やテキヤや
トラック運転手まで

他の精神科で断られたり
警察経由で入院した患者達の
医局で落ち着いていると
判断された三十名程の病棟だった

任されていた婦長が耐え切れず
辞任してしまった後釜に
ボクが任された理由は知らない

兎に角
喧嘩やトラブルが多く
背中一面に入墨のある患者達が
やれ稲川会系だとか
丁字家やら源清田とかで
揉めていたりして消灯近くに
いきなり
「センセ―!!ちょっ
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