第十巻七十二番/板谷みきょう
から大丈夫
庭の木の葉が風に揺れてるから大丈夫
と思いつく限りにアレが安全だと云う
神のサインだと話し続けた
起床時間の六時に当直医が来て
ボクは
通常のルーチンワークを始めた
夜勤明けて出勤した時に
院長に
妄想に付き合い続けたことの件で
院長室に呼ばれた
「妄想に付き合うのは楽しいか。
君が妄想世界に入ったら
現実に戻って来れる程の
強い精神を持っているように
思えない。」
そんなことを言われた後
「君と話をしたことで
彼女の妄想気分が訂正不可能な
確固たる妄想に
発展した可能性がある。」と
言われた
彼女はその後
保護室に入れられ
抗妄想剤が中心の薬に変更され
治療改善するのに
一年以上が掛かり
何とか回復し閉鎖の一般病棟に
戻れたのは
二千年に入ってからだった
ノストラダムスの大予言で
不安感から体調を崩し
精神科に通院した人達の
多かったことを知る人は少ない
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