オルフェウスに重なるように/
坂本瞳子
左足ひきずる詩人は
ペガサスに連れ去られた今日という日
二度と地上を振り返るまいと
目玉をえぐり出しただろうか
オイディプスとは違って
足の指を使っただろう
もしくはアルテミスに射られただろうか
二〇の脳を抱えたまま
美しく長い手の指はピアノを奏でるごとくに拡げ
膝の上には帳面を置いたまま
〜コクトーの命日に寄せて
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