詩の日めくり 二〇一七年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 
、詩のなかで、風になり、木になり、流れる川の水となっていたと、そう考えればよいのであろうか。いや、詩のなかの風も木も流れる川の水も、彼の声ではなかった、彼の言葉ではなかった、彼とのことではなかった。なにひとつ? そうだ、そのままでは、なにひとつ、なにひとつも、そうではなかったのだ。では、現実はどこにあるのか。記憶のなかにも、作品のなかのイメージのなかにもないとしたら。いったいどこにあったのか。


二〇一七年十三月五日 「32年目のキッス。スプレンディッド・ホテル。アル・ディメオラ。」


きょうは、風邪をひいていたので
学校が終わったら、まっすぐ帰ろうと思ったのだけれど

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