頭痛の種をつまみにして/ただのみきや
慰に殉じる}
乾いていく泥の上
つがいの蜻蛉(とんぼ)が産み落とすもの
溺れながら影をあやして
なぞるように壊してしまう
――あなた
見たことも聞いたこともない何かの欠片を握って
夢心地――そんな所在もない墓標を故郷のように
風葬花嫁
つよい風がわたしを抱きすくめる
目も開けられず翻弄される
突き飛ばすようで尚もわたしを抱いたまま
油壺でも砂糖壺でもないこの器から
灰を全て攫(さら)ってゆく
ごうごうと鳴り響く中に囁きがあった
――それが最後
終止符もない広い余白どこまでも高く
《2021年10月10日》
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