頭痛の種をつまみにして/ただのみきや
換気
現実は醒めない夢
一生いぶかしみ
出口を模索する
後ろで窓が開く
気配だけが淡く恋
かくれんぼ
風もないのにブランコが揺れた
瞳の奥の赤錆びた沈黙
死者の睦言
耳たぶを咬んでぶら下がる邯鄲(かんたん)の声
黒電話のダイヤルを回す
少女のようなハンカチに包まれた
冷えた臓物に脚が生え
休耕地から這い出した
祖父母の影が踊っている
そわそわ斑にうず巻いて
闇に舐られる供物の乳房
風もないのにブランコが揺れた
誰も彼も隠れたきり
鬼灯みたいに透けて
ぼんやり赤子が灯っている
{引用=自慰に
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