中目黒の記憶/番田
昔僕は、そう遠くはない昔ではあるのだが…、招待状をもらっていたということもあり、会社に入りたてだった男の結婚パーティに行くために、バスで中目黒に向かっていた。でも、中目黒に行くという事自体は、僕は、初めてのことではなかった。前にいた会社の上司に連れられて、そこにある巨大な淡水魚の泳いでいた水槽のあるバーに行ったことがあった。そこにいた女性店員から、自分がスタイリストになりたいのだという話を聞かされていたことをよく覚えている。今よりも、まだ、CDがツタヤで借りられていて、雑誌や音楽が、直接的な形で売れていた頃の話である。ただ、当時でも、店でCDを借りるということをまわりから珍しく見られはじめていたと
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