詩の日めくり 二〇一七年十二月一日─三十一日/田中宏輔
二〇一七年十二月一日 「みかんの皮」
こんな時間にどうしたの
そう訊くと彼は
考え事をしていて出てきたんです
こんな時間まで起きて何を考えてたの
ってさらに訊くと彼は
数学です
へえ
きみって学生なの
ええ
京大?
はい
ふうん
発展場として有名な葵橋の下で
冬だったのかな
正確な季節はわかんないけど
朝の5時ころに
河川敷に腰を下ろして川の水を眺めている青年がいた
ふつうの体型だったけれど
素朴な感じの男の子で
ぼくはその日は夜の12時頃から
てきとうにメイクラブできそうな相手をさがして
ぶらぶらしてた
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