マッツンの十五の夜/板谷みきょう
 
カタレっ!」
オヤジは
オートバイを畑から出すのを手伝ってくれた

「オメダチの仲間も
みんなドコのおんちゃか知ってんだど。」

松原鉄工所に帰ったら
みんな心配して待っててくれていた

「あのオヤジ。おれらのことみんな知ってるって…」
そう言うと
みんなそれぞれに
「明日、江田に呼び出しくらうべか。」
みたいなことを話してた

翌日
誰も呼び出されなかったけど
あれから誰も
夜中にカブで走らなくなった

それからは
自転車であの農道のカーブを走る時に
力一杯ペダルを漕いで最高速度で
「恐怖の45度バンクーーー!」って
叫ぶのが流行った

そして
マッツンは、工業高校を卒業後
帯広のクボタに務めた

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