マッツンの十五の夜/板谷みきょう
 
捨てられている灰色のスーパーカブを
松原鉄工所に持って行くと
同じクラスのマッツンが
走れるように直してくれた

シートを掛けて林に隠して
3台溜まった所で五人のいがぐり頭
ヤマロクとオサムとトリとマッツン
そしてボクらは
夜中に集まっては一人一人
間隔を開けながら町中をカブを
麓まで静かに押して歩いていた

けれども
気分は上がりっ放しだから
つい
ワクワクに負けて
話が大声になり
慌てて
「しーっ!」と言い合った

麓に着くと
「押しがけ」でエンジンをかけ
次々と山道を競うように
走り去っていった

オサムは
ガソリンをオイル缶に入れて

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