それは猫だった 3/RAVE
 
私は掌を合わせていた。
いつもなら般若心経を唱えている所だ。
目の前には先祖代々の位牌が並べられている。
頭の中は仔猫でいっぱいだ。
ただ合掌しているだけの
格好だけの姿だ。

用事というのは
祖母が毎月通っている寺に出向き
家内安全を祈祷してくれる施餓鬼だった。
一般的にはお盆に行うらしいが
この地域では毎月行っている。
と言っても檀家さんが4世帯ぐらいの
とても小規模なものだ。

先月祖母が認知症の祖父を探していた所
石に躓いてうつ伏せに転倒し
頸椎を損傷して寝たきりになった。
なので祖母の代わりに実家の家内安全を祈祷しにきたというわけだ。
今回が二回目の
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