視力/這 いずる
 
不鮮明の星空を見上げて現実の境界を失くそうとがんばる。今日の出来事いい事あったよって墓前でご報告できるようにいつか、っていつかって思って、朝四時に起きて夜空の境界を眺めて星が鮮明だ、年をとればぼんやりと何事にも視線を合わせなくていいように自然となるんやし今のうちだけや。だって。明度の落ちた夜中の散歩は誰にも会わない。街の人と目を合わせないようにしているから人の顔を忘れていて、知り合いが歩いていても分からないみたい、たぶん。知り合いじゃないかもしれない。分からないし。視力が良すぎるのかなって帽子をかぶってる、目が疲れてるのかもって目を押す、でも目は悪くなりたくない、本を読めなくなるしたまには綺麗なもの見たい、でもそれ以外では使わないかもしれない。目が合わないほうが幸せかも、あってもなくてもどうにでもなるのかも。考えてしまうと要ると思った物も要らなくなる。なんだか、またそれを思い出した。要らないもの多いままゴミに埋もれていくけど思い出の品とか捨てちゃう、なにも考えないまま目をこすって夢見がちと無口を使い分けてごはん食べる
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