開始の合図/坂本瞳子
 
夜の闇の向こう側から
鳥の鳴き声が響く
鳥目ではなにも見えないだろうに
まだ眠りについていないのかと
胸騒ぎを覚える
羽を休めていればいいものを
月も星も輝かないこの夜は
刺激を与えてしまうのか
まあいいさ
まだ始まってはいないみたいだ
この先どうなろうとも
見ていてやろうではないか
いやむしろ
見せつけてくれたまえよ
楽しみにはしてやらないけれど
お手並みを拝見するほど
お人好しでもないけれど
なにがどうなろうとも
止めも助けもしないけれども
ただ見ていてはやるからさ
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