詩の歌声/ただのみきや
 
した

少女の差し出した掌をしっかり捕まえて
少年はその清らかな水に一っこのビー玉を吐きだした
ビー玉は青く澄んで白い渦があり輝いている
少女はきつく目と閉じて水といっしょにそれを飲んだ
ビー玉が喉を通る時とても辛そうな顔をして

時が過ぎた
少年には何ものこらなかった
ただ時折その水脈で火の魚が翻るような
何に餓えているのかすらも解らない欲求があった
だが少女の海では今
青い地球がゆっくり体をめぐらせる
未分の夢に 母音でふれながら



                    《2021年9月26日》







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