記憶の光景〜去りゆく夏の日に/ひだかたけし
 
夏の空、玄関口
立ち尽くす我
庭木の揺れ、うねる大気

ああ世界が広がっていた!
己とは無関係に
何処までも眩しい異郷が

五歳の時のその体験を私は決して忘れない
じぶんとは全く無関係な美しい世界が在り
その世界を発見しひたすら見入っている自分が居たということ

懐かしい戦慄!

世界はそのとき
私とは全く無関係に
だからこそ親密に関係して在ったのだ







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