喝采/ゼッケン
 

そのテーブルの上に置いた食べかけのカップ麺は下敷きになった
ロープを伝って黒覆面の男たちがぼくの部屋に降りてきた
ひとりはカメラを回していて、ぼくに向けていた
正解!と司会者が言い、弟さん、お姉さんに応援のメッセージをどうぞ
ぼくは言った、姉ちゃん、帰って来い!
覆面のひとりがカメラの前でひざまづかせたぼくの髪の毛をわしづかみにし、
のけぞったぼくの首にナイフを滑らせる
またもやぼくは咳き込み、しかし、咳き込んだと思ったが
血の泡が出たのは切り裂かれた喉の途中からだった
ぼくは喉の裂け目を両手で押さえる
男たちは機材を肩に担ぎ、ぼくを部屋に残して扉から一列になって出て行っ
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