夏声/ふるる
そうやっていつも気づかないふりで逃げる
上手く逃げたと思っていても
いつかは対峙する時が来るものだ
ひとり
佇んでいたプールサイドは
夏の光に汚れて立つのがやっとだった
きみが
手のひらを開いて見せたのは
何の合図だったのか
もう終わるのよということかそれとも
始まりの
蝉の声が切断され
夏は一度きりだったと気づいた
特にきみのいた夏などは
失くして初めて気づくもののたぐいだった
宿題を忘れていた
きみからの宿題
この気持ちは何なのかどう説明がつくのか
はっきりさせないといけない
青い正方形に優しく線をひく飛行機雲
よりはっきり
開いた手がだらりと
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