傷んだ果実の盛り合わせ/ただのみきや
曖昧が曖昧のまま
互いが互いの夢のように
生は刹那の
雨傘でもなく日傘でもなく
天気雨の傘がある
老いに追いつけず少年は
太陽と虹の間に立ったまま
耳の裏をすべる子蛇と戯れる
まだ見ぬ誰かの美しい目隠し
儀式
あなたの中で地団駄を踏む
幼子をあやそうと
小さな笹舟を流しました
ゆるやかな束縛が愛だとしたら
ああ水の帯に沸き返る光の鈴よ
容易く途切れ かつ不断の
一滴で致死量だった 涙の
わたしたちは同罪の確信犯
笹舟は青いまま沈みます
浅ましさ
朝 メジロが死んでいた
亡骸を両の掌に包みこころに埋めた
ヤマガラを埋めたこともある
スズメも ムクドリもだ
いつか芽を出して
囀る翼たち
そんなことはなかった
草一本生えない凍れた土地
いつまでも行ったり来たり風だけが
なにも見つけられずに泣いている
《2021年9月11日》
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