傷んだ果実の盛り合わせ/ただのみきや
犬も食わぬ だとしても ただ己の生前供養として
またも雑多な感傷を一つの籠に盛り合わせてみる
秋を想わざるを得ない日 繰り返される儀式として
ひとつの面差し
睦まじくもつれ飛ぶ白い蝶と黄色い蝶
もう一羽 黄色が割って入る
だがもうなにかが違っていた
日差しは濃い黄金 舞台の証明のよう
草木が風と戯れる辺り
瞑らせる だれかの口形へ
吸い込まれて行く
祈りに満たない気づきのもつれよ
少女化
取りこぼされた木の実のように
残照に馴染み
誓う少女の指先が折る千代紙のように
固く閉じてゆく
母という曖昧
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)