金星/本田憲嵩
ここに来たのは
いったいどれくらいぶりだろう
遅い昼下がり
海岸沿いの辺鄙な道の駅は
物産品を買い求める人々や
ソフトクリームやドリンクを注文する人々で溢れかえっている
少年たちが戯れる海岸沿い
カップルや夫婦連れ
ベンチに座る
備え付けの望遠鏡を覗き込めば
思いもよらず拡大されて映し出された船
こんなにも大きく映すのかと
なぜか新鮮でほんの小さな感動
本物は水平線の近く 小さく小さく
けれどもきっとそのほうが良い
近くで見えてしまうよりも
はるか遠くにあるものを常に見続けていたい
海は金色の夕陽にもはや染まりつつある
自動車にもどり
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