水溶性の雨/
 


ふるさとみたいな
おなかのつめたい石に
雨が降る

チャコールグレーの傘をさした
すぎやまくんに
水溶性の雨が降る
溶けていくね
好きだったのに

ほんとうは存在していないものを
いくつか知っている

未来
過去
それに時間(時計は存在しているがまぼろしを刻む)

行く場所と傘がなくて
立ったまま目をつむると
街の溶ける音階がきこえた

すこしずつずれてゆく秒針に合わせて
ただ雨が降るうたを歌おう
まぼろしみたいに
感傷はなしに


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