詩/パワフルぽっぽ
具合のブロッコリーの鮮明な緑、リモコンだけが置かれた清潔なリビングテーブルの木目。そういう日々の組み合わせで出来上がったわたしの細胞が、いま、子宮のなかで急速にコピーされている。きっとこの子もそれなりに幸せになるのだろう。それなりの大学を卒業して、それなりの大企業に就職し、それなりの公務員と結婚する。バックアップされていく遺伝子、引き継がれていく命。海底にキラキラと光るものが見えて、近づいてみるとそれはラージャンのたてがみだった。わたしはそれを一本拾って口に含んでみた。その体毛は、ほのかに甘い匂いがした。もしかしたらこれは、あの時取れなかった金メダルの代わりなのかもしれない。そういえばこの子も美し
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