蝉の声を聞きながら/玉響
 
伝えたかったことは
胸に留めたまま
してあげたかったことは
見過ごし

与えるべき何もかもを
心に抱えながら
子を育て
続く、毎日の暮らし

それでも
それだから

日々 悩み、後悔はするけれど
だからこそ
よりよく生きる力になり
やさしくもなれる

親として子として
この地球に生まれ
今を共に生きる毎日

許し許されながら
きっと自分が与えられなかったことは
誰かから与えられる

だから、大丈夫

完璧でなくてもいいから
一生懸命に居よう

当たり前の日常を
心に留める難しさよ

書けば書くほど
遠ざかる
言葉のもどかしさよ

蝉の声を聞きながら
ゆく夏のさみしさと
秋の便りを待つ
そんな季節の狭間に思う
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