彷徨/ひだかたけし
 
目的地に辿り着けない
イメージと現実が繋がらない
鉛のような肉身引き釣り
見知らぬ街を只さ迷い歩く

空は灰色、大気は冷え冷え
行き交う車の騒音が
林立するビル群に鋭く反響して

(愛する人は今頃
駅のベンチに横になり
遥かな夢に揺蕩いながら
私の帰りを待っている)

目的地が逃げてゆく
到達したと思った瞬間
ぽかんと開ける虚空間
再び鉛のような肉身持ち
見知らぬ街をさ迷い歩く

今日もまた、
悪無限の現実が
夢見の中、続いてゆく








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