詩の日めくり 二〇一七年六月一日─三十一日/田中宏輔
日知庵から帰ってきて、郵便受けを見ると、武田 肇さんから、自撰句集『ドミタス第一號』を送っていただいてた。ぼくの好みは、「雲はいつの雲にもあらず雲に似る」、「形あるものみな春ををはりけり」、「足のうら足をはなれてはるのくれ」といった句である。ひとは自分に似たものを好むというアリストテレスの言葉を思い出した。ぼくには、ここまで圧縮できないと思うけれど、自分が考えていることに近いというか、そんな気がする句が好きなようだ。俳句というのは、世界でもっとも短い詩の定型詩だと思うけれど、そこで残るような作品をつくることは、ほんとうにむずかしいことだと思う。むかし集中して俳句を勉強したけれど、いまでも、すっと
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