愛のかたち/umineko
父親のことを書こうかと思う
優しい男だ
優しさを通り越して
気弱であった
かなり痩せ型で
ひょろひょろしていた
まあこうして
兄も私も
それなりの社会人に仕立てたのだから
立派な大人、のはずなんだけど
重みがなかった
絵本に出てくる
空腹のロバ そのもの
私が大学生の時
突然出家した
仕事を辞め
大学に通い
僧侶の資格をとり
法衣を着て
家々をめぐる
法話を説く彼は
楽しそうだった
愛にあふれていたんだ
今なら
私にはわかる
気弱で
重みがない
でもやたらに愛があった
破れた障子
あぜ道のもぐら
分け隔てなく 愛
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