詩の日めくり 二〇一七年五月一日─三十一日/田中宏輔
て去っていただろう。95ページにこんな言葉がある。「あなたは慎重すぎるのよ。人生は短いんだってこと、わかってないのね。恐がらずに、思いきってものごとに突っこんでいくべきだわ。わたしが人生で恐れるのはたったひとつ、何かを見のがしてしまうことよ。経験すべき何かを。生きているっていうたいせつな実感を……」(ヴァン・ヴォクト『銀河帝国の創造』11、中上 守訳、95ページ・1‐4行目)この見解には、ひじょうにうなずくところがある。ぼく自身が慎重すぎて、経験できなかったことが、いっぱいあるからである。若いころにね。20代後半から、つまり、詩や小説を読んだり書いたりしはじめてから大胆になったけれど、それは文学上
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