詩の日めくり 二〇一七年五月一日─三十一日/田中宏輔
ゃ抜かすのは、逆に考えると、才能がないから、ごちゃごちゃ抜かすということかもしれないなと思った。あ、芸術家は、無名のときが、いちばん幸福な状態であると、ぼくは思っているので、ぼくの場合も、もちろん、死ぬまで、無名の状態でよいのである。何といっても、すばらしい音楽を、すばらしい詩を、すばらしい小説を、だれにすすめられることもなく、自分の好きになったものを追いかけられるのだ。しかし、この「生活」という人物、もと「イカイカ」というHNの者、世間に認められることに意味があると、ほんとうに思っているのだろうか。芸術家にとって、無名であること以上に大切なことはないと、ぼくなどは思うのだがね。まあ、ほんとに、ひ
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