跋扈ちゃん/ただのみきや
 
は持ち帰って
シャワーで洗ってやる
情欲からか
ヴィーナスと名付けてみる

本物はつくりものの中にしかない
不純物を除き濃縮されたもの
現世の幽霊は
劇の舞台で形象を得た

タトゥーのないヴィーナスよ
おまえにルビを打とう
ふるえる片言の心音
すべての夢は孤児だ

訪れる扉ヴィーナスよ
わたしはおまえに身投げする
一個の孵らないウミガメの卵
輪廻する恋情の的のない嵐






ワイルドブルーベリー

不埒な錯覚だ
スルスルっと狼する目走りで太陽の氷嚢を噛み潰す
初恋の血の味 詳らかな罪の淫らな活殺者
鎖鎌みたいにヒュンヒュン振り回
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