跋扈ちゃん/ただのみきや
夕涼み
薄暗がりがそっと首を絞め
あなたは鬼灯を見た
決して強くはない抱擁で
皮膚一枚を越えられず
互いの頬に帰依するように
自分の愛と思える部位を自分で弄って
記憶に補正された鬼灯は
黄泉路を照らす灯か
悲哀の詰まった優しさが
はち切れる ひんやりと
腿から上へ這うもの
白紙のヴィーナス
時代の船から突き落とされて
波にさんざん弄ばれて
打ち上げられたマネキン
泡立つ嘲笑に尚もしゃぶられて
どこから来たか国はどこか
詮のないこと もはや
そこらの貝殻と同じく記号なのだ
かもめが側に舞い降りる
わたしは持
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