詩の日めくり 二〇一七年四月一日─三十一日/田中宏輔
 
たさいごの詩に書いている。花筏。はないかだ。波打つ川面。つぎつぎと流れ来ては流れ去ってゆく桜の花びら。ぼくが20代のときに真夜中に見た、道路の上を風に巻かれて、大量の桜の花びらがかたまって流れてくるのを見たときほどに、美しい眺めだった。花など、ふだんの生活のなかで見ることはないだけに、ことさら目をひいた。そいえば、おしべとか、めしべとかって、動物にたとえると、生殖器のようなもので、花びらって、そのそとにあるものだから、さしづめ、花のパンツというか、パンティーみたいなものなのだろうか。風に舞う数千枚のパンツやパンティー。川面を流れるカラフルなパンツやパンティーを、ぼくの目は想像した。

 きょう
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