詩の日めくり 二〇一七年四月一日─三十一日/田中宏輔
 
ばかりだ


西脇順三郎 「第三の神話」

美しいものほど悲しいものはない


西脇順三郎 「天国の夏」

もう人間はあまり笑わなくなつた
脳髄しか笑わなくなつた


西脇順三郎 菜園の妖術」

一かけるゼロはゼロだ
だがゼロは唯一の存在だ
無は唯一の存在だ
無は永遠の存在だ


西脇順三郎 豊穣の女神」

幸福もなく不幸もないことは
絶対の幸福である
地獄もなく極楽もないところに
本当の極楽がある


西脇順三郎 「野原の夢」

すべては亡びるために
できているということは
永遠の悲しみの悲しみだ


西脇順三郎 「野原の
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