詩の日めくり 二〇一七年四月一日─三十一日/田中宏輔
 
けど。


ぼくは帽子が似合わないので帽子はかぶらないことにしている。


 去年はじめて、サンマの腹を食べた。日知庵で、炭火で焼いてくれていたからだろう。それまでは、箸でよけてて、食べなかった内臓を、酒の肴にして食べてみたのだ。苦い味だが、けっしてまずくはなかった。自分がジジイになったせいだろう。ふと、サンマの腹が食べたくなったのだった。あの苦味は、なんの味に似ているだろう。いや、何の味にも似ていない。炭火で焼かれたサンマのはらわたの味だ。そいえば、さざえのあの黒いところはまだ食べたことがないけれど、もしかしたら、いまなら食べられるかもしれない。さざえを食べる機会があったら挑戦してみ
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