詩の日めくり 二〇一七年四月一日─三十一日/田中宏輔
妻と子をのせた緑色の馬が部屋の中を回っているのだった。草野理恵子さんのは奇譚の部類になるのかな。あるいは、怪奇ものと言ってもいいと思う。そのグロテスクな光景に、なにゆえにかそそられる。
ご同人に、青木由弥子さんという方がいらっしゃって、その方の「現況」という詩のなかの第3連目に大いに考えさせられるところがあった。「空の底にたどりついたら、反響してもどってくるはず、(…)」というところだけれど、短歌や俳句で、ときおり「空の底」という表現に出くわす。「空に沈む」とかもだけれど、「空の底にたどりついたら」という発想は、ぼくにはなかった。これは、ぼくがうかつだという意味でである。考えを徹底させるという
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