詩の日めくり 二〇一七年四月一日─三十一日/田中宏輔
う詩句にあるように、向日性のアイロニーといったものをお持ちなのだろう。冒頭に置かれた「昔、僕らは」というタイトルの詩に、「咲き乱れる さくら」という詩句があって、きょうのぼくの目が見た桜の花を思い起こさせたのだった。ついでに、も一つ。3番目に収められた「ぬくぬくぬくとかたつむり」という詩の第一行目に、「紫陽花」という言葉があったのだが、27、8歳まで詩とは無縁だったぼくは、「紫陽花」のことを「しようばな」と音読していたのであった。「紫陽花」が「あじさい」であることを知るには、自分がじっさいに、「あじさい」という言葉を、自分の詩のなかで使わなければならなかったのである。30代半ばであろうか。たしか、
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