詩の日めくり 二〇一七年三月一日─三十一日/田中宏輔
二〇一七年三月十六日 「驚くべきことに」
恋人の瞳に映った自分の顔ほどおぞましいものはない。
目は2つもあるし
鼻は1つしかない。
耳にいたっては
頭の両端に1つずつもあるのだった。
二〇一七年三月十七日 「いくつかのメモ」
2017年3月21日メモ
鳥には重さがない
もしも重さがあったとしたら
飛べないからである
翼を動かしているのは
あれはただたんに
空気をかき混ぜているのである
鳥が鳴くとピーッという音になる
音が鳴りやむと
鳥の姿に戻る
鳥は物質であり音でもある
鳥は音が物質化した一例である
2017年3月21日メ
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