きみは馬鹿だから絶望してやっと美しくなる/おろはげめがね
。
本当は生きてなんかいたくなかった。
空から降ってきた雨が水なのか涙なのか血なのかも良くわからない。
そんなこと知りたくもなかった。
盲目の日々。それと同じくらいに本当は生きてなんかいたくなかった。
それでもきみに出会ってしまい仕方ないから恋をした。
きみのせいで僕は大人になりつまらないことで笑ったり日曜日に映画を観たりするようになった。
つまらない映画で笑ったりするようになった。
つまらない映画も大人しく観るようになった。
本当は生きてなんかいたくなかったはずなのに。
一瞬前の輝きが去った後の人生に何の意味があるのか。
人生に何の意味があるのか。
世界は美しいと、きみは馬鹿だから絶望してやっと美しくなる。
きみを好きになった瞬間、僕は自殺したようなものだ。
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