きみは馬鹿だから絶望してやっと美しくなる/おろはげめがね
一秒前の瞬きに取り残された世界で折り紙を折る音を聞く。
永遠に手に入らない宝石の輝きを見せつけられたような日。
大好きだと、遠い遠い島国から言われたような気がして、一瞬何のことだかわからなかった。
大好きだよ、それは遠い遠い昔の事、意地を張って夕食を食べなかった日の事。
大好きだよと言えない。
本当は大好きなものなんてなかった。
生きていたくもなかった。
ただ光を求めて、排泄して、殺して、犯して、食べて、ゆっくりと腐敗していく事を受け入れていくことに何の疑問も抱かずにいるのが嫌だったし、そうでもなかった。
ただ光を見たくて、恋をしたくて。
大好きだよの言葉に意味なんてなかった。
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