二十一世紀の日本より愛をこめて/おろはげめがね
 

その時の全部をきみにあげよう
この世界の隅から隅までと
あと少しを
きみにもあげよう

きみが欲しいのなら
この命だってあげよう

いつも いつも
見ていた
その細い
日焼けした
腕や脚
大きな目
黒く長い髪
貝殻のような爪と
硝子細工のように伸びた指先

古代の遺跡に 迷い込んだかのような
孤独を湛えた 静寂のうちに
千年ぶりに出会う
きみはあの星々よりも美しい
命のある言葉をきみにあげよう
命のある歌をきみにあげよう

生きとし生けるものの
熱や
鼓動や
呼吸や
その輪廻や
光の中から
見つけた
永遠の 太陽のようなもの

たとえ世界中が
きみを殺そうとしても
どうやったって
きみは綺麗だ
きみの言葉が いちばん綺麗だ
世界が終わってしまっても
終わらない命
どうしようもなく
涙も雨も空も海も
きみも わたしも

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