わたしの宿題/石田とわ
 


     だれもいない畑の真ん中で
     愛くるしい笑顔と
     くるくるとした巻き毛を持った少女が
     火を放った
     そうしなければならない理由を
     少女も知らずにいた
     それはだれにもわからない少女の
     苦悩であり、
     悲しみであり、
     叫びだった
     火は赤々と燃えるはずだったのだろう
     けれどどこまでも黒く燻り続け
     何もかもを燻し続けた
     少女の絶叫とともに。


     彼女はまだ十六だった
     愛くるしい笑顔もその巻き毛も
     彼女のも
[次のページ]
戻る   Point(3)