とはいえ瞬く間に喉は渇きを覚えるだろう/ホロウ・シカエルボク
 
俺たちはもう少し学ばなければならない、人生は川の水面を見つめるようなものではない、その流れの中に飛び込んでどこに向かうのかと絶えず頭を悩ませるものだ、俺は水面に飽きて、小さな階段を上り、堤防の上に戻った、堤防の上は、昔はずっと先まで一直線に歩いていくことが出来た、けれど今はマンションの敷地内になり、一区間がフェンスで仕切られている、それが正しい手続きによって行われたものなのかどうか俺は知らない、まあでももちろん、底に部屋があるのなら庭先を赤の他人がウロウロするのはちょっと嫌だろう、それが流れというものなら俺は文句を言うべきじゃない、堤防に沿って歩かなければどこにもたどり着かないというわけでもない、腕で額の汗を拭い、入道雲とそうでない雲が折り重なった空を見上げる、どこかへ向かう飛行機が長い尻尾を垂れながら高度を上げていく、風景はなにも語ることはない、それらすべてがなにかひどく空虚な遊戯に思えるのは、きっと―。


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