詩の日めくり 二〇一七年二月一日─三十一日/田中宏輔
パンドラのところには
じつは、もうひとつ箱が届けられていて
その箱には『芸術/無料・お試しセット』と書いてあった
あらゆるつまらない詩や小説や戯曲や
音楽や舞台や映画なんかが詰まってる箱であった
この箱が開けられるまで
世界には素晴らしい詩や小説や戯曲や
音楽や舞台や映画しかなかったのだけれど
パンドラがこの箱を開けてしまったのだった
は〜あ
歴史に「もしも」ってないのだけれど
もしも……
二〇一七年二月十二日 「花緒さんのおかげで」
いま、学校から帰ってきた。これから友だちの見舞いに。ぼくの新しい詩集の表紙をかざってくれた青
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