もがきながら側溝の闇に消えた揚羽蝶のために/ただのみきや
飾り物
沢山の飾り物を付けて
自分がひとつの飾り物のように
時代の吊革にぶら下がっていた
円環するはずの路線が
少しずつ内へと傾いて
渦を巻き やがて
凝り固まった闇
終着点 あるいは
アンモナイトの起点から
鴎のような紙の静かな群れ
資料化された怨念はg数千円
乾燥ヤモリはイモリより高価だが
どちらも漂白されてえげつない白さ
弦楽器
丸みは陰影 陰影は直進する
同衾しながら光は手をこまねいている
拷問によって生み出された
見えないからだが空気を纏う
ひとつの舞踏が開花して
あとかたもなく去ってゆく
霊媒師は
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