枯れ落ちた瞼/komasen333
 
しょうか

諦めきれない茜の短冊
拭いきれない茜の星屑
あの三行が
この胸の中で行き場を失くしたまま
どっぷりと深みを増していく

春が、夏が、秋が、冬が
当たり前に香らせて今年もまた通りすぎて
晴れが、雨が、曇りが、雪が
当たり前にくすぐって今年もまた通りすぎて

思い出したように
左手の甲の瞼をそっと舐めれば大層な雲は
風に飛ばされながら
細かく千切れて
告別を象徴する切り画となった

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