はなくそ/よんじゅう
ふりそそぐものが仰向けでしびれたのは、いつだってなつだった、かえり道でゆらゆらとした意識が、にぎりしめた手のうちに、だれかがいそうな、とても晴れた日だった、ころされた石のような影がこわばるばかりで、だれもいなくなったさんずのかわでもきっと、渡そうとしても譲られてしまうだろうとおもう、かえろうとおもった家にはだれかがいそうな日で、なけないのはそのせいだとしても、だれもかえらない家は家ではないと、わたしはきかされていた。そこで。みんなもっときいてくれ!二枚目の舌ははるかな山の稜線のように積乱雲をのせていた、くべつとかさべつとかいろいろあるけど、国道沿いに挟まれた栞のような畑で祖母が屈んでいる、世間には負けてもいいらしい、祖母がつくりだした暗がりでいっぴきの蟻が両の手をあわせて、この人生はやさしくどしゃぶる。
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