牙をむいた虎/viraj
 
な官能。





いろんな思い出が錯綜した。

私を愛してくれ、ともにさまざまな夢を見た女たち。

「私、やっぱT君のこと、好きだわ。」

「ずっと一緒にいようね。」

「パンツぬれてる!ちょうだい!ああ、大きい!」

「恋愛ってこんなにつらいんだ!」

「信じてたのに。」




愛してる人たちって、みんな苦しそうだね。



僕の心は、人生を生きるのが苦しくて泣いた。



ヴァイオリンとチェロの甘い会話のように、僕の魂と心は話し合った。



濃密な官能の真夜中のように。



惑星も月もひとりでは輝けない。



離れていても太陽は彼らを照らす。



後ろは振り返ってもしょうがないね。



僕は、思い出という宝石を心の海の深くに捨てた。
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