坂の途中/shell-lamb
 
陽が傾いて、ちいさないしがみさまに立てかけられていた、
自転車の車輪が、風にまわされていました、
からから、と、おもちゃのたてる音のような、
へこんだ泥よけに、つっかかって、
こすれるような音がするのですが、その音も、
繰り返しで、やってくるのでした、か、こん、からから、
か、こん、からから、か、こん、か、こん、と、
いろがやみにかわるころには、風はよわまって、
か、こん、と、
小学生の頃、田んぼにお兄ちゃんが落ちたときの、
においを覚えています、夏だったので、
とんぼなんか、とんでいました、
ちいさないしがみさまは、ずっと、おなじばしょにいます、
今度かえってくるときは
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